マンドリンは、リュートから発展したイタリアの代表的な民族楽器で、17世紀初頭にヴェネツィアで原型が作られました。
マンドリン系楽器は、2本1組の弦が4組、合計8本張られていて、主な奏法はピックで弦を弾く「ピッキング」と、ピックを素早く上下に動かして弦を連続的に振動させ、音を持続させる「トレモロ」があります。
現在ではクラシックやマンドリンオリジナルの楽曲だけにとどまらず、ジャズ、ロック、ポピュラーミュージックなど様々なジャンルの楽曲で使われ、非常に多様な可能性を秘めている楽器と言えるでしょう。
前置きはこのくらいにしておいて、個々の楽器の紹介に入りたいと思います。
当クラブでは1stマンドリン、2ndマンドリン、マンドラテノール、マンドロンチェロ、クラシックギター、コントラバスの5楽器・6パートでマンドリンオーケストラを構成しています。
他にも、賛助楽器としてティンパニ、フルートなどを加えて演奏することもあります。
マンドリン(Mandolin)
マンドリンオーケストラの中で一番高い音を出すマンドリンは、楽曲の高音域を奏でます。合奏では、主に主旋律を担当する非常にオイシイ楽器です。
小さくてかわいらしい形状でありながら古典的で風格のある装飾、そして繊細な音色が昔から人々を魅了してきたのではないでしょうか。
調弦はヴァイオリンと同じく低い方からG-D-A-Eですが、ヴァイオリンとは違って半音ごとに指板にフレットがついています。
パートは1stと2ndに分かれており、主に1stは主旋律を担当し、2ndは1stのハモリやリズム刻みを担当します。
マンドラテノール(Mandola Tenor)
通称:ドラ
ドラは、マンドリンとチェロの間の中音域を奏でます。
その音は穏やかで柔らかく、人の声に近いとも言われています。決して派手ではありませんが、主旋も伴奏も刻みもこなす、こっそりオイシイこの楽器は弾く者の心をとらえて離しません。
マンドロンチェロ(Mandolon Cello)
通称:チェロ、セロ
チェロは管弦楽でいうと弦楽器のチェロにあたります。マンドリンオーケストラ全体を支えるリズム、しっとりとしたメロディーを、重厚な低音から突き抜けるような高音で表現する、まさにオールラウンダーです。合奏全体を独特の低音で支え、引き立てる、非常に重要なパートです。
クラシックギター(Classic Guitar)
クラシックギターは、主に伴奏を担当します。一般的なアコースティックギターで用いるようなピックは使わずに、爪で弦をはじいて演奏する、やわらかく深みのある音色が特徴です。そのため、他の楽器に比べて音量は小さくなりがちですが、六本の弦から奏でられる和音と多様な奏法で、オーケストラの音色に幅と厚みを持たせます。
「禁じられた遊び」や「アルハンブラの思い出」など有名なソロ曲も多く、どちらかというとソロ楽器としての印象が強いかもしれませんが、マンドリン系の楽器一本と合わせればすぐにデュオ曲が演奏できるという魅力も持っています。
コントラバス(Contra Bass)
通称:ベース
コントラバスは、4本または5本の弦を持つ大きな弦楽器です。当サークルでは4本弦のものを使っています。ベースはオーケストラでは無くてはならない存在です。低音で落ちつきのある音色は、全体を支える重要な役目を担っています。弓で弾く他に、弦を指で弾く「ピチカート奏法」で奏でることもあります。ベースのピチカートは共鳴が良いばかりでなく、曲に軽やかさと透明さを与えます。
合奏機能としては、アンサンブル全体を支える、縁の下の力持ち的な存在です。「自らの音によって他者の音の価値を増大させる」という役割が強く、とても魅力的な楽器です。